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学生・教員の活動
2016.09.17
9月17日(土) 看護学生研究会主催講演会「寄り添う力~死にゆく者に出来ること~」を開催しました
関西福祉大学看護学生研究会では、平成28年度 第2回看護学生研究会主催講演会を開催しました。
■ 講演テーマ
『寄り添う力』~死にゆく者に出来ること~
■ 講師
宮本 直治 氏
・北野病院薬剤部係長
・がん患者グループゆずりは代表
・浄土真宗本願寺派 僧侶
ご自身も闘病中でありながら、終末期患者の声に耳を傾ける
「ビハーラ僧」として心のケアを実践されている。
講演会など全国各地でご活躍中。
看護学生研究会の今年度のテーマは、
「がん患者さんが地域で活躍できる社会づくりを目指して ―患者さんの体験を通して医療従事者としてできることを考える―」でした。
今回、講師としてお招きした宮本氏は自ら癌を患い、残された時間と向き合いながら自分自身のために、自分と同じがん患者のために、ビハーラ僧として活躍されている方です。
日頃は大阪の北野病院に勤務しておられる薬剤部係長として働きながら、2007年・胃がん手術を受け、2009年・がん患者グループ「ゆずりは」に入会し、2011年から代表をしておられます。
2013年から仏教系ホスピスでビハーラ僧としても活動。患者としての体験とビハーラ僧として死に行く患者に向き合う体験を通して死をタブー視せずに語る活動を精力的に行われています。
宮本氏からのメッセージは、看護学生だけでなく福祉や教育に携わる学生にも,また教職員にも学ぶところが多かったはずです。
一般の方も10名ほど聴講に来られていました。
パワーポイントのスライドを100枚以上ご用意いただいており、それぞれが一つの作品のように言葉が綴られていて、聴講されている方々もとても勉強になったり、気付くことが多かったと感想にありました。
◆良かれと思って発する言葉でも、元気な私と、病気を患っている人とでは感じ方が違うし、溝がある。そのことは常に頭の中に入れておかなければならないと思った。
この先、私は看護師になる予定である。チーム医療というものを日々大学で学んでいるが、がん患者グループや家族会など病気を体験した者でしか分かり合えないことはたくさんある。
医療者が首を突っ込むのではなく、そういう場を紹介することもチーム医療だと考えた。
◆宮本先生の一つ一つの言葉に重みを感じた。
私は、患者さんには笑顔でと思っていたが、患者さん本人はそんなことは望んでいなくて、見えているものの違いに気づかされた。
私は、命ってなぜ大切なのかという問いにまだまだやりたいことが残っているからと答えました。あたりまえのことが出来なくなる日まで、全力で走っていこうと思いました。
◆老いというのは「誰もが年をとり始めて体験しうる」ことだと宮本先生の話を聞いて、確かにそうであると思った。誰もが体験しうることなのに、元気で自分の思うようにできる私たちは、老いを病気のように扱ってしまっているのではないかと考えるきっかけとなった。
自分の尺度の中で、この言葉なら相手を傷つけたりしないだろうと決めつけてはいけないということがわかった。
“元気” “他人と比べる” “頑張りましょう” これからは特に考えなしに言うべき言葉ではないと改めて感じた。
◆人はそれぞれ自分だけの人生があり、“こうしたい”という思いがある。
看護師は、自分がその人に“こうしてあげたい”と考えるのではなく、その人自身が思っていることに対してどうしたらそれを叶えることができるのかを考え、支援していくことだと感じた。
死にゆくものとは、病気にかかり、命がいつまでと言われた人のことを示しているのではなく、私たち自身であるという話が一番心に響いた。