虐待を受けた子ども達を支援する
第1回 人を支援するということ
本稿では「虐待を受けた子ども達を支援する」ということをテーマに、思いつくままに書き進めたいと考えています。
テーマを見ると、虐待という言葉の方が印象に残りやすいと思いますが、まずそのお話を始める前に「支援する」こととはどういうことなのかについて簡単に触れ、コラム連載の導入に当てたいと思います。
人を支援するということは、一般的には良いことと考えられがちです。
実際、支援が他者の善意で成り立っているということも少なくありませんし、それが悪いとも言いきれません。
しかし、支援というものを無条件に良いこととしてもよいのでしょうか?
私は臨床心理士で普段、心理療法を行なっています。
心理療法を例に、支援を受ける人と支援を提供する人との関係に目を向けてみたいと思います。
実は多くの人が指摘してることなのですが、心理療法を行なう人と受ける人の関係というのは平等な関係ではありません。
むしろ侵襲的な関係ですらあります。
例えば、専門知識を持つ人とそれを必要とせざるえない人、個人情報の開示を求められる人と受け取るだけの人、お金を払う人ともらう人…といったように、不平等性がそこに横たわっています。
こういった不平等性は、ある意味においては、クライエントが不遇な立場にあることを強めてしまうことがあります。
これは心理療法に限ったものではありません。
自分自身が他者の助けを得たいとは思っていても、自分がそういった立場に陥っていると感じることは、人の自尊心を低下させることがあります。
人の助けが必要にも関わらず、求めようとしない時、その理由の一つには、このようなことも背景にあるのではないかと思います。
我々が人を支援しようとする時、こういった不平等性に気づく、心の細やかさというものを大切にする必要があると思います。
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