コラム

ブレイクスルーを可能にする理念と使命―職場のマンネリを突破する力―

 
社会福祉学部では、学生に身につけてもらいたい教養の力と専門性を『学士スタンダード』という100ページほどの冊子にまとめています。

これを学生に配布し、1年次のゼミのテキストとして使用しています。

先日、この内容を踏まえつつも、「卒業時、学生にどんな力を身につけてほしいか」、教員間で話し合いました。

出された意見の中に「マンネリ化している状況を突破する力」があります。
確かに福祉現場をはじめ、他の仕事でも、社会の状況は変わっているのに、毎年同じ発想・考えで、同じことを繰り返しているところが、少なからずあります。

では、どうすればそうした力が身につくのでしょうか。

職場・職種にもよりますが、私が長年勤めた福祉現場について言うと、
1.その現場が本来実現しなければならない状態(理念)を明確にし、それを職員間で共有すること(これにより改善しなければならない課題が見えてきます)
2.その状態を実現しなければならない明確な動機、使命のようなものをもつこと(これが人を衝き動かします)
です。

この2つをもっている人は、問題意識をもち、どうすればいいかを考え抜きます。

そして、周りを巻き込んで改革を起こします。

理念をもつこと、使命を感じることは、卒業後すぐには難しいです。
しかし、実践を積み重ねていく中で理念の大切さと自分の使命に気づき、職場のマンネリを突破してほしいと思います。

少なくとも、福祉の現場は、そうした力を求めています。
 

この記事を書いた人
中村 剛
中村 剛 - なかむら たけし -
福祉現場の経験と哲学という営みを通して、社会福祉の根拠となる「知」を明らかにしたいと思っています。

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