コラム

子どもは認められると開花する

私が大学を卒業して勤めていた児童相談所の一時保護所での話です。

ある日、小学5年のT君が入所してきました。

入所理由は誰彼なしに大きな声で暴言を吐くので、近所の人から「『きちがい(放送禁止用語)』がいる、精神病院に入れろ!」との苦情を受け、困り果てた親が、「何とかして欲しい」とのことでした。
T君は日に焼けた元気そうな子どもでしたが、目は落ち着きなく絶えず周りに神経をとがらせているような状態でした。
周りの子どものちょっとした行動に食って掛かることが多く、周りの子どもから怖がられていました。
私は学習指導をしていましたが、T君は小学5年生ですが平仮名の読み書きが殆どできませんでした。
学校では勉強が全くできず、T君にとっては学校が苦痛でストレスが溜まっていたものと思われます。
そのストレスの発散として大きな声で誰彼なしに暴言を吐いていたのではないかと推測されます。
そこで、学習時間以外の時間もマンツーマンで平仮名を「あいうえお」から教えました。
文字が読めるようになるにつれ、表情も明るくなり、他児に暴言を吐くこともなくなりました。
当時の児童相談所では夏休みに不登校児を対象にした「10日間の合宿指導」を行い、最後の3日間はキャンプを行っていました。そのキャンプにT君も参加させていただきました。
キャンプはテントの設営から食事等のすべてを職員は手を貸さずに子どもたちがするようになっていました。
いわゆるサバイバルです。
T君はテントの設営、飯盒炊爨と他児に一言も文句を言うこともなく、黙々と働き大活躍でした。
入所時の大きな声で他の子に文句を言ったり、すねたりする状態と雲泥の差です。

子どもは大人がじっくりと関わり、自分が認められた、生きている意味があると感じた時、持っている力を発揮するのだなと思いました。

大人は子どもとじっくり関わり良い行動を大いに褒めてください。

そうすることにより子どもの能力が開花します。

この記事を書いた人
佐伯 文昭
佐伯 文昭 - さえき ふみあき -

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