コラム

社会をデザインするソーシャルワーク:共生を強制しない社会を目指す

東日本大震災以降、大規模な自然災害が続いています。

その度、「つながり」や「絆」、「共生社会」、「連携」といった言葉に注目が集まります。確かに大切な言葉だと思います。

しかし、このような言葉に縛られてしまうのはどうでしょうか。

実際に、社会には「つながりをつくろう」、「絆をつくろう」、「共生社会をつくろう」、「連携しよう」といったフレーズが溢れかえっています。

そして、どこかで、誰かとつながり続けることを強いられてしまうこともあります。
人はスマホを持ち、SNSをすることで常に誰かとつながっている状態です。

でも、よく考えてみてください。

私たちには一人でいたい時だってありますよね。
一人でゆっくり考えたいのに誰かが関わってくることもあります。
すごく助かる時もあれば、一人になりたいと心の底から思うこともあるでしょう。

なぜ、こういうことになっているのでしょうか。

ここに大きな落とし穴があります。

それは「つながりをつくること」、「絆をつくること」、「連携すること」が目的になってしまっているのです。
常にどこかで、誰かとつながっていられるような社会が良いとされています。

そして、実は、その先がないのです。
だから、現実に「つながりはできた、さぁ、どうしよう…」という場面がたくさんあります。

そこで忘れてはいけないのが「人」です。

その人が何を求めているのかを目的にし、その手段として「つながり」ができれば良いのです。
もちろん、できなくても問題はありません。
実は、このように考えることが大切になります。

ソーシャルワークは社会をつくる一翼を担っています。

その時、そこで暮らす人のことを忘れてはいけないのです。
社会が共生を目指すことは大切です。
しかし、共生は強制して築くものではありません。

結果として「共生できるようになっていたよね」が目指すべき方向なのでしょう。

この記事を書いた人
藤原 慶二
藤原 慶二 - ふじわら けいじ -

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