コラム

海外経験で得たもの

 
私は、23歳から30歳までヨーロッパ各国でのバレーボールの武者修行に行っていました。

若い時から、漠然と「ただ一時的に海外旅行へ行くのではなく、海外に住んで、違う文化で暮らしている人達がどんな考え方をしているのか知ってみたい」と思っていました。
そのように思った理由を考えてみると、小学校5年生の夏休みに、一歳年上の姉と二人でニュージーランドへ2週間程ホームステイに行ったことが関係しているのかなと感じています。

私がいざ実際に海外へ行きたいと思ったのは2003年頃になりますが、当時、ヨーロッパ諸国はバレーボールの強豪国がひしめき合っていました。
指導者になりたての私にとって「これはヨーロッパでバレーボールの勉強をするしかない!」と思い込んでいました。
そういう思いを持って発信していると手助けしてくれる方が現れるもので、大学の先輩から、「ドイツのクラブチームを紹介してあげるから、コーチとしてのトライアウトを受けに行ってはどうか」とご紹介頂き、当時私が所属していたチームのシーズン終了後、すぐにドイツへ行きました。

ドイツのそのチームでは残念ながらコーチの採用枠がないという事でダメでしたが、縁があってノルウェーのチームから声をかけて頂きました。

ノルウェーでの4年間で北欧選手権大会で優勝するなど結果を残すと、次はデンマークのクラブチームからオファーを頂いて2年間過ごし、そして最後の1年は、モントリオールオリンピックで男子バレーが金メダルを獲得したことがあるポーランドでもコーチングをすることができました。

私がヨーロッパで見たバレーボールは、それはそれは私が期待していた「経験したことがない練習方法」が実際に行われていました。

おおよそどこの国でも、1クラブが体育館を使用できる時間は、他クラブとの兼ね合いで2時間程度と決まっています。
その短い練習時間(今となっては2時間で十分だと思っています)の中で、ある日はオフェンスを突き詰めていく練習、またある日はディフェンスを突き詰めていく練習と、一つのスキルを深めていく様々な練習方法がそこにはありました。

ゲーム形式の練習においても、ただ単純にゲームをするだけでなく、様々な場面設定や負荷のかけ方がありました。
日本にいるだけでは知ることが出来なかったことを、たくさん見つけることができました。

コーチングを学び始めたばかりの当時の私にとって、生涯にわたって財産となる貴重な経験を得ることができました。

勇気を持って恐れずに違う世界に飛び込めば、色んな発見があります。

まだまだ挑戦していきたいと思います。

この記事を書いた人
水野 秀一
水野 秀一 - みずの しゅういち -

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