コラム

正しいは怖い③ 被害から自分を守ろう!

 
今回は、虐待やハラスメントを受けた側について書きます。

そもそも、攻撃を受けることは苦痛です。
安心や安全がおびやかされる状況であり、誰でも早く逃れたいと思うでしょう。
選択肢としては相手と闘うか逃げること等が挙げられますが、実際にはそのどちらも出来ずに耐え続ける人が少なくありません。

その背景には、相手との関係性にヒビが入れば更に大きな不利益が生じるのではないか、という不安があります。
実際、親や上司・指導者がその相手であることは多く、指導や仕事・居場所を失う可能性は否めません。
そのため、理不尽な目に遭っても「これぐらいなら大丈夫」と自分に言い聞かせます。

しかし、心はあきらめの気持ちに支配され、やる気や前向きさが損なわれていきます。

その結果、手抜きやズルをするようになる人もいれば、ミスを繰り返すなどのパニック症状やうつ病など心の病気として顕在化することもあります。
自己嫌悪に陥るだけでなく、場合によっては周囲から「ダメな人」というレッテルを貼られるかもしれません。

被害が長期化することについて「なぜもっと早く訴えなかったのか?」という意見もあります。

しかしながら、彼らの多くは執拗な攻撃と解決の見通しがない状況のなかで、身動きもできずに無力感に苛まれているのが実情です。
そして、結果的には転職や転校などを迎えることが多く、そのような大きな変化には心が傷ついた状態で対応しなければなりません。
もし、新しい環境でもうまくいかなければ、人生に影響することもあるでしょう。

このような被害者の一方で、加害者の多くは「自分は間違っていない」「相手が悪い」と正当化するだけであり、彼らが変わり関係性が良くなることは期待できません。

だからこそ、被害を受けている人が行動するしかないのです。
今、あなたは激しい叱責や理不尽な対応をされているかもしれませんが、そのことは「ダメな人」であることを意味してはいません。
場所や相手が変われば、評価は変わります。

だからこそ、からだが健康で心も健全なうちに、次のステージに移動して自分が活躍できるように整えましょう。

人生は長く、それを楽しんで下さい。

理不尽な攻撃に耐え、加害者に支配される必要はありません。
あなたが行動することで相手は困るかもしれませんが、まずは自分を守ることを優先してください。

なぜなら、あなたを守ることが出来る人は、あなたしかいないからです。
遠慮なく再スタートにむけた準備に取り組みましょう。

この記事を書いた人
森 歩夢
森 歩夢 - もり あゆむ -
児童養護施設で十数年間、心理職として勤務していました。その経験を活かして、学生のみなさんには実際の支援現場で役立つ内容を伝えたいと思います。また、僕自身が聴覚障害者であり「みんなとは違う」という体験からカウンセラーや福祉に興味をもちました。今でも「自分だけ」という悩みを抱える人に寄り添える支援者でありたいと思っています。

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