コラム

政教分離と私立学校

 
高校生から「うちの学校では宗教の時間がある。これは憲法違反ではないのか。」と質問されることがあります。

確かに、日本国憲法第二十条「①信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。②何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。③国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定しています。
また、教育基本法の第9条も「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教活動をしてはならない。」と規定しています。
しかし、これらの規定で宗教教育を禁止されているのは、憲法の方をみると「国及びその機関」、教育基本法の方では「国及び地方公共団体が設置する学校」です。

つまり、簡単にいうと「国公立の学校」だけです。私立の学校は含まれていません。
私立はむしろ「信教の自由」が保障される側です。それゆえ、私立学校では、特定の宗教に基づく教育を行うことが許されています。実際のところ、私学には、創立の経緯から宗教が深く関わっている場合も多いのです。

本学(関西福祉大学)も宗教が起源となった学校法人の大学です。しかし、信者でなければ教員になれないわけでもなく、学生が入信を求められるわけでもありません。

ただ、「人間平等、個性尊重、和と感謝」という建学の精神に基づいて「世のお役に立てる人材」を輩出するための教育を行っているだけにすぎません。

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