コラム

「新型コロナと福祉思想」その4―ランプの灯を少しだけ高くかかげる―

昭和23年9月3日に来日したヘレン・ケラーは、講演会で「あなたのランプの灯をもう少し高くかかげてください。見えない人々の行く手を照らすために」と話されたと言います。

ランプの灯を少し高くすると、その分、光の届く範囲が広がり、闇の中で見えなかったところが見えます。

新型コロナウイルスにより社会、生活が大きく変わりました。

そうしたなか、休業要請のため収入が激減したお店の人たち、解雇された人たち、感染の可能性がある状況で患者に対応している医療従事者たち、そして感染した人たちなど、大変な状況にいる人がたくさんいます。

先日授業で、他にどのような状況があるか、学生と話し合いました。

「医療従事者の子育て」、「親の収入が少なくなり、バイトの収入も減り、大学生活が続けられるか不安に思っている大学生」など、いくつかの状況が出されましたが、それは困難な状況のわずかな部分に過ぎません。

今年、感染拡大予防の観点から、例年とは異なる形で実習を行うことになりました。
私や学生のそれぞれが持っているランプの灯をもう少し高くかかげることで、いまは見えていない現実が見えるようになりたいと思います。

そして、見えてきた生活困難に対してソーシャルワークは何ができるのか、学生と共に考え、これまの実習では学べないソーシャルワーク実習教育を展開すること、それが今年の目標です。

この記事を書いた人
中村 剛
中村 剛 - なかむら たけし -
福祉現場の経験と哲学という営みを通して、社会福祉の根拠となる「知」を明らかにしたいと思っています。

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