コラム
いまも影響力を持ち続ける人生論
武者小路実篤が著した『人生論』の序を少し引き写してみよう。
それを読むことで、もしかしたら読んでみようと思う気になる人も出てくるかもしれない。
序にはこう書かれてある。
「この本だけ読めば僕が人生に就いて感じていることがわかってもらえるように書きたかったので、他の本を読む必要のないように書くことにした」(p.ⅰ、岩波新書、p.8、新潮文庫)。
この本は1938年11月20日に出版、序は同年9月5日に書かれたものだ。
岩波新書と新潮文庫には「序」が掲載されているが、なぜか1955年出版の角川文庫版では省かれてしまっている。
どうしてだろう。
なぜ人生論という題にしたかの理由については序を読んで初めて分かるため不可解なことではある。
また、本著の題にした理由は、初めにはっきり浮かんだ題だからと書かれてあるが、『人生私観』(の題)も武者小路は適切だとしている。本コラムの主題に「人生私観」を用いたとしても違和感はないだろう。
中川孝によれば、『人生論』を「もっとも重要な一冊」とし、武者小路自身が、「ぼくの著作がどういう目的で書かれているか、この本を読めばだいたいわかると思うので、この本はぼくの全著作の序文とも見ることができる。」と言い切った、そんな歴史的証言もある。
武者小路実篤の人生論は今日もなお影響力を持ち続けている。
RELATED POST関連記事
-
2021/09/01 総合福祉コース適性は形成概念:あなたは向いている? それとも向いていない?看護にしても社会福祉にしても、その仕事に向いているか向いていないか、この適性の問題は大... [...続きを読む]
-
2021/01/20 こども福祉コースコロナ渦でも学生が頑張ったこと その② ~「コロナ渦でも元気で楽しく過ごす子どものコツ」冊子の制作~コロナ渦は大学生に心身ともに大ダメージ 新型コロナは日本において大学生に心身ともに大き... [...続きを読む]
-
2020/06/19 総合福祉コース「新型コロナと福祉思想」その5―経済活動への眼差し、アルフレッド・マーシャルの視点―一方で感染拡大を防ぎながら、もう一方で経済活動を徐々に再開させていく。 いま、そうした状況にいます。... [...続きを読む]
LATEST POST最新の記事
-
2024/03/03 スポーツ福祉専攻日本で唯一!関福大の「スポーツ福祉学」とは?従来、スポーツと福祉の関わり方と言えば、アダプテッドスポーツ、障がい者スポーツ(パラス... [...続きを読む]
-
2024/02/09 社会マネジメント専攻なぜ社会福祉学部で政策やビジネスを学ぶのかタイトル、2024年4月から関西福祉学部社会福祉学部社会福祉学科では、新たに社会マネジ... [...続きを読む]
-
2024/01/04 総合福祉コース本学伝統のコミュニティアワーのテーマに関する覚書(前編)関西福祉大学(の社会福祉学部社会福祉学科)が開学以来ずっと行ってきているユニークな教育... [...続きを読む]