コラム
いまも影響力を持ち続ける人生論
武者小路実篤が著した『人生論』の序を少し引き写してみよう。
それを読むことで、もしかしたら読んでみようと思う気になる人も出てくるかもしれない。
序にはこう書かれてある。
「この本だけ読めば僕が人生に就いて感じていることがわかってもらえるように書きたかったので、他の本を読む必要のないように書くことにした」(p.ⅰ、岩波新書、p.8、新潮文庫)。
この本は1938年11月20日に出版、序は同年9月5日に書かれたものだ。
岩波新書と新潮文庫には「序」が掲載されているが、なぜか1955年出版の角川文庫版では省かれてしまっている。
どうしてだろう。
なぜ人生論という題にしたかの理由については序を読んで初めて分かるため不可解なことではある。
また、本著の題にした理由は、初めにはっきり浮かんだ題だからと書かれてあるが、『人生私観』(の題)も武者小路は適切だとしている。本コラムの主題に「人生私観」を用いたとしても違和感はないだろう。
中川孝によれば、『人生論』を「もっとも重要な一冊」とし、武者小路自身が、「ぼくの著作がどういう目的で書かれているか、この本を読めばだいたいわかると思うので、この本はぼくの全著作の序文とも見ることができる。」と言い切った、そんな歴史的証言もある。
武者小路実篤の人生論は今日もなお影響力を持ち続けている。
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