コラム

コーチの眼

スポーツ現場では、コーチがアスリートのパフォーマンスを評価する際に、記録などの競技結果はもちろん選手自身の感覚や“コーチの眼”が用いられます。

特に「動き」については、運動のリズム、流れ、力み(りきみ)具合、姿勢、四肢の同調性などをコーチが眼で捉え、その捉えた動きを評価し、アスリートへとフィードバックします。
つまり、アスリートの動きの全体像から細部にいたるまで丁寧に観察し、パフォーマンスをコーチが主観的に分析するのです。
一方、スポーツ科学が発展した今日では、アスリートの動きを動作分析機器やアプリケーションを用いて測定し、簡単に数値化して評価することも可能です。
しかし、アスリートのパフォーマンスは“ナマモノ”であり、機器を通して測定し、分析や処理を行い、数値へと変換していく過程で様々な重要な情報を失い、真のパフォーマンスの姿ではなくなってしまいます。
特に、パフォーマンス開始から終了までの一連の動きの流れや、運動のリズムなどは機器を用いて捉えることは難しく、ましてや数値にして忠実に表現することはほとんどできません。
そこで、アスリートの動きの全体像を瞬時に捉え、一連の動きとして評価するコーチの眼がスポーツ現場では非常に重要になります。
コーチの眼はただ単に運動の観察を続けていれば磨かれていくわけではなく、アスリートの動きを瞬時に理解するために解剖学やバイオメカニクス、物理学の基礎的な知識等が必要になります。

科学的な測定機器やアプリケーションを使うため、あるいは客観的に体力やパフォーマンスを評価できるようになるためだけに科学を学ぶのではなく、スポーツ現場で自分の「眼」を使ってアスリートの動きを捉えるためにも、科学を学ぶことはとても大切なのです。

この記事を書いた人
熊野 陽人
熊野 陽人 - くまの あきひと -

RELATED POST関連記事

  • 谷口ゼミの活動等
    ゼミは2・3・4年生を担当しています。 2年生のゼミは通称「コミュニティアワー」と呼ばれるもので、とにかく地域に出かけていく、そこで地域の課題を見つけ、どのように対応していくかを考えていくものです。 [...続きを読む]
  • 身近なストレス
    奈良女子大学大学院人間文化研究科修了。 博士(学術)、社会福祉士。認知症ケア指導管理士。 老年社会学、家族関係学を専門とし、主に、男性介護者の介護ストレスや家庭内高齢者虐待に対する社会福祉士の支援のあ [...続きを読む]
  • いまも影響力を持ち続ける人生論
    武者小路実篤が著した『人生論』の序を少し引き写してみよう。 それを読むことで、もしかしたら読んでみようと思う気になる人も出てくるかもしれない。 序にはこう書かれてある。 「この本だけ読めば僕が人生に就 [...続きを読む]

LATEST POST最新の記事

  • それでも、自分のゴールにむかう ~ストレスと受け止め方の話~
      大学で勤務をしていると、卒業生から連絡が入ったり、研究室に顔を見せにきてくれたりすることがあります。 社会人になって、元気に過ごしているという近況報告もあれば、少し働くことが辛くなってき [...続きを読む]
  • 「講義のオンライン化」は「オンライン講義」か①
      新型コロナの影響で日本全国の大学ではオンライン講義が行われています。 本学では6月になり一部対面授業が開始されたものの当面はこのような状況が続くかもしれません。 少なくとも後期も「オンラ [...続きを読む]
  • 福祉 feat.スポーツ
      アーティスト(歌手)が他のアーティストとコラボレーションして楽曲を創ることを、「featuring(フィーチャリング)」と言い、「○○ feat. ▲▲」のように表現します。 「feat [...続きを読む]
PAGE TOP