コラム

後悔先に立たず

 
「後悔先に立たず」ということわざがあります。

皆さんは後悔したことがありますか?

人生の折り返しに指しかかって振り返るとそれなりに思いつきますが、どれも「それもまた人生」とあきらめのつくことばかりです。
ただ、今でも成し遂げておけばよかったという後悔が一つだけあります。

大学院生の夏休みに、「知らないところに行きたい」と急に思い立って、友達と二人で1か月ほど北欧に行きました。
私は初めての海外旅行でドキドキしましたが、若者特有のノリと勢いで大した計画も立てず、文字通り行き当たりばったりの旅でした。
今思い返しても後先考えずに「よく行ったなぁ」と思うし、それも含めてとても楽しい時間であったことを思い返します。

北欧の魅力に取りつかれ、またよい気分転換にもなったので「ぜひ来年も」ということになりました。今回は航空機でタイを経由してデンマーク入りしたので、次はシベリア鉄道に乗ってフィンランドへ行こう、という青写真です。

ところが、翌年の4月に就職することが決まったため、まとまった時間をとることが難しくなり、今日の今日までその計画は実行されていません。

あれから20数年、多少は時間に融通が利く今の立場なら、「えいや!」と実行に移すことは可能です。

しかしそれは、「シベリア鉄道に乗ってフィンランドに行った」という事実と、「同僚に迷惑をかけたな」という反省が残るだけです。

それは中年のとなった私には、あの若い時に得た北欧に行った感動よりも、あれこれと余計な雑念や小賢しい計算が入り込み、もう純粋な気持ちが生まれてこないことがわかっているからです。あの頃に抱いていた将来への不安、海外にいる不思議さ、見ること、聞くこと、触ること、すべてが新鮮で、刺激的であった経験は、若い感性でしか抱けないことを知っているからです。
だからこそ、あのとき無理にでもシベリア鉄道に乗って行くべきだったと、本当に後悔しています。

このコラムを読んでいるのは高校生でしょうか?

若い時にしかできないこと、若い感性でしか得ることができない経験があります。それこそ「箸が転んだ」だけで笑うことが出来るのは、若い感性がなせる特権です。若いときにしたことは、感性を揺さぶります。後回しにせず、今を大切にして、大いに楽しんでください。

この記事を書いた人
岡崎 幸友
岡崎 幸友 - おかざき ゆきとも -
専攻は倫理学で、特に「善の実現に至る道筋」に関心があります。また独我論からの脱出が課題です。

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