コロナ禍での不登校児童・生徒を考える
不登校児童・生徒の増加
2020年度に30日以上登校せず「不登校」とみなされた小中学生は前年度より8・2%増の19万6127人で、過去最多だったことが文部科学省の問題行動・不登校調査で明らかになりました。
小中高校から報告された児童生徒の自殺者数も415人で最多です。
コロナ禍による一斉休校など生活環境の変化で、多くの子どもが心身に不調をきたしたことが浮き彫りになりました。
不登校の小学生は6万3350人(前年度比1万人増)、中学生は13万2777人(同4855人増)になりました。
不登校生の55%が90日以上の長期欠席をしています。
主な不登校の要因は「無気力、不安」が46・9%(同7・0ポイント増)と最多で、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が12・0%(同2・9ポイント増)で続いています。
また、不登校ではないものの、コロナ感染を避けるため30日以上出席しなかった小中学生は2万905人いました。
子ども「自死(自殺)は過去最多
自殺した小中高生は、文科省が自殺の統計調査を始めた1974年以降最多となりました。
小学生は7人(同3人増)、中学生は103人(同12人増)、高校生は305人(同83人増)で、女子高校生は131人(同68人増)と倍増しています。
自殺者が置かれていた状況では、家庭不和や精神障害、進路問題や父母らの叱責(しっせき)があったことが目立っています。
コロナ禍の要因が加速
不登校の増加について文科省の担当者は一斉休校や分散登校などにより「生活リズムが乱れやすく、学校では行事なども制限されて登校する意欲がわかなかったのではないか」と指摘されています。
自殺の背景として、家庭不和や親の叱責、精神障害はこれまでも多かったが、今回は前年度より件数が増えており、「コロナで在宅の時間が増え、家庭での息苦しさが増した」とみられています。(2020「文科省調査」、朝日新聞報道参考から)
コロナ渦における子どもの生活変化が大きな影響
私は長年「児童心理治療施設」という児童福祉施設で心理士として勤務してきました。
一番多く接して来たのが「不登校児童・生徒」です(2千名を越えます)。
今回の調査で小学生の著しい増加が気になりました。
これまでは中学生時期に不登校が増えていたのですが、昨年はコロナ禍によって小学生の増加が目立ちます。
家庭内の変化や学校生活の変化に影響を受けるのが小学生やそれよりも幼い子どもたちです。
感染防止の観点から『黙食』もやむを得ないかも知れませんが、大事なコミュニケーション力の成長が阻害されている可能性もありますね。
各家庭で幼い子どもさんに学校での生活での様子を聞いたり、近くの公園で親しいお友達とのごく自然な遊び体験をさせたりするのもいいかと思います。
幼児から小学生までは友達同士の『遊び体験』が何より重要かと思います。
遠くの旅行でなくても、身近でできることを心がけて下さい。
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