コラム

ストレスがたまって疲れが取れなくて困っているあなたへ

 
関西福祉大学社会福祉学部一瀬貴子です。

福祉職や看護職、教師など対人援助の仕事は心身の疲労を招きやすいといわれています。
それは、他者の幸せの構築のために援助職の心身の情緒的エネルギーを投資する必要があるからです。

今回は、ストレス反応を低減させるための「対処」についていていきたいと思います。

ラザルスとフォルクマンは、人間のストレス対処能力には主に2つあると述べました。
一つは具体的な行動をもってストレスを乗り越えようとする問題解決型対処パターン、二つは回避・情動型対処パターンといわれるものです。
前者は、「新聞・本・雑誌・テレビ・人などから仕事に関連した情報を得る」「自分のおかれた状態や自分の気持ちを人に聞いてもらう」「先輩や仕事先の同僚などに相談する」「問題を解決するために、家族や友人等、身近な人に助言を求める」といったようなものです。
後者は、「つらくて人知れず泣いたり、八つ当たりしたりする」「なるようになれと思う」「自分で自分を励ます」「とにかく努力する以外にないと思う」といったようなものです。

両者を比べると、前者に比べて後者は、自分の中でもがいたり現実を逃避することで、ストレッサー(ストレスを生み出す原因となるもの)の影響を軽減しようとするのです。

普段の生活を振り返ると、皆さんはどちらの対処行動をとっていますか。

対人援助職にある方が自分の心身の疲れを自覚するためには、そのサインに気づくことが大切です。
例えば、集中力が低下してきた、身だしなみに気を使わなくなってくる、肩こりや頭痛や腰痛、口内炎が出てしまうなどです。
それらのサインに気が付いたら、できるだけ早く身のまわりの人に助言を求めたり、情報を共有したりすることが大切です。

そして充電のレパートリーを広げるのです。

そうやって人生の幅を広げることで、他者の幸せについて考えることがまたできるようになるのです。
 

この記事を書いた人
一瀬 貴子
一瀬 貴子 - いっせ たかこ -

RELATED POST関連記事

  • ソーシャルワーク実習を終えた学生の疑問
      以前、ある学生(「Aくん」とする)が、社会福祉の現場でソーシャルワークを学ぶための実習を終えて、大学に戻ってきてこういった。 「先生、自分は実習を終えた同学年の学生と話していて不思議に思 [...続きを読む]
  • 「社会福祉専門職」としてのソーシャルワーカー
      ソーシャルワークとは、基本的人権の尊重と社会正義に基づき、福祉に関する専門的知識と技術を用いて、生活上の困難や悩みをかかえる人に寄り添い、その人と共にその困難や悩みの解決を図り、一人ひと [...続きを読む]
  • 合言葉は「かみかみ」、新型コロナの合言葉
    勝田吉彰の「高校生に知ってほしいこれからの感染予防」 YouTubeでご覧いただけます   新型コロナの感染は、この冬から再び増加してゆくことが予想されています。 これは、 ①ウイルス自体が [...続きを読む]

LATEST POST最新の記事

  • 子どもと家庭を支える想像力と創造力-スクールソーシャルワーク教育課程の取組み-
      近年、子どもと家庭をとりまく状況は厳しく様々な課題がマスコミ等でも取り上げられています。 少し前であれば、子どもの相対的貧困が大きなトピックとなっていました。 ここ数年で急速に注目される [...続きを読む]
  • 「社会福祉専門職」としてのソーシャルワーカー
      ソーシャルワークとは、基本的人権の尊重と社会正義に基づき、福祉に関する専門的知識と技術を用いて、生活上の困難や悩みをかかえる人に寄り添い、その人と共にその困難や悩みの解決を図り、一人ひと [...続きを読む]
  • 変わるのはだれか
      本学で行っているSDGs(持続可能な開発目標)の取組み。 今となっては生活していればあらゆるところで耳にする言葉なのではないでしょうか。 先進国から開発途上国への一方的な「支援する−支援 [...続きを読む]
PAGE TOP