コミュニティによい実践② ~観光スポットの分析~
2018年10月、『兵庫県赤穂市GAP調査報告書』が公表されました。
この報告書は全94頁、赤穂市のHPでどなたでも閲覧できます。実際の調査では全国1,052名もの協力者が回答しており、赤穂市のイメージで「あてはまる」が最も高かったのは、「忠臣蔵と赤穂義士」で約71%、次いで「歴史的な、伝統的な」が 約66%、「赤穂城跡と城下町」が約61% となっていました。
また、赤穂の塩、忠臣蔵と赤穂義士はスターコンテンツ、赤穂温泉や坂越の牡蠣はお宝コンテンツという結果が導かれていました。
このように私たちの大学がある赤穂には観光名所、いわゆる観光スポットと言われる場所があるのですが、実際のところどうなのでしょう。
谷川ゼミ(2回生)では、今年はコロナ禍で思うように活動ができませんでしたが、こうしたなかでも、自分たちができることがないか考え続け、9月から始まる赤穂学で、活動のきっかけをつかみました。
赤穂学も、コロナ禍で授業計画の大幅変更を余儀なくされていますが、代替案ひとつに全15回の授業のうち1回を「赤穂市の観光」がテーマにおこなわれるということになりました。
熟考の末、これを私一人の経験にするのではなく、2回生のゼミ生と一緒に、赤穂学を履修している1年生のために、何かお役に立ちとう、という結論に至りました。
ゼミでは、赤穂市で人気があるとされる観光スポット上位10件を用いて、科学的な分析を試みました。
これは具体的には、「高感度差異抽出法」という分析手法を用いたのです。
高感度差異抽出法とは、臨床心理学の分野で開発された手法のことで、商品群からランダムに3品を選び、その3品を2つの印象の異なるグループに分け、分けた根拠から、商品の意味的概念を抽出する方法です。
この方法を応用し、ゼミでは、商品を「観光スポット」と見立て、独自の切り口によって意味的概念を編み出しました。
また、机上の学びだけでなく、その後、実際にいくつかの赤穂のスポットに皆で足を運びました。
観光情報センターでは、職員の方二人に高感度差異抽出法の分析結果についての感想もいただき、その後、息継ぎ井戸、花岳寺、赤穂城跡などを巡りました。
このような調査をすることで、いろんなことが分かりました。
たとえば、赤穂市の観光スポット、上位10件の中に「花岳寺」というお寺が入っており、赤穂観光大使の一人、パク・ジュニョンさんも自身のブログで紹介されていたことです。
高感度差異抽出法による分析では、結果として、坂越の町並みと赤穂海浜公園の二者が10ポイントの高得点でした。
次に赤穂大石神社と赤穂城跡、そして赤穂市立歴史博物館の三者が9ポイントを獲得しました。
高感度差異抽出法による結果で、私たちは得点をはじき出しましたが、得点が低いからといって当該スポットに価値がないとは決して言い切れないのではないかとも考えます。
いずれにせよ、今回の調査を実施してみて、こう思います。
もしお時間やご予算、ご都合がつくようであれば、一度赤穂の観光スポットには足を運んでみてほしいと…。
もちろん、新しい生活様式には十分留意してのことですが、まずは、播州赤穂駅からまっすぐにお城通りを徒歩でいくと、いろいろ気づきや発見があること間違いありません。
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