コラム
「新型コロナと福祉思想」その5―経済活動への眼差し、アルフレッド・マーシャルの視点―
一方で感染拡大を防ぎながら、もう一方で経済活動を徐々に再開させていく。
いま、そうした状況にいます。
私は経済学者ではありませんが、経済学にはアルフレッド・マーシャルの「Cool Heads but Warm Hearts(冷静な頭脳,されど温かな心)」という視点があると聞きます。
これは、「経済学を学ぶには、理論的に物事を解明する冷静な頭脳を必要とするが、そこには、階級社会の底辺に位置する人々の生活を何とかしたいという温かい心が必要だ」といった意味です。
新型コロナウイルスの状況下における経済活動を、冷静な頭脳で分析しなければなりません。
しかし、そうした分析の中には、本当に大変な状況にいる人へ温かな眼差しが必要です。
福祉の思想には、その眼差しの中に「自尊心を大切にする」という視点があります。
まず、収入がなく餓死してしまう、借金返済の目途が立たず命を絶ってしまう、こうした状況を生み出さないようにしなければなりません。
ただし、それだけでいいわけではありません。
自尊心は人が人として生きていく上で最も大切なものです。
仕事がない、解雇された、借金を重ねざるを得ない状況の中で、自尊心は大きく傷つきます。
経済活動は、人の生活だけでなく、命と自尊心を守るものでもあることを再認識したいと思います。
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