コラム

「大切なこと」をスケッチする②―2度と戻らない美しい日

研究で疲れた時、音楽を聴きます。

お気に入りの1曲に小沢健二さんの「さよならなんて云えないよ(美しさ)」があります。

「青い空が輝く 太陽と海のあいだ」という詩的なフレーズからはじまり、他愛もないことで笑い合う若者の日常が謳われています。

その中に、「左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる 僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも」と、瞬間=永遠と思える時間を生きている情景を表す歌詞があります。

そしてその後に、「本当は分かっている 2度と戻らない美しい日にいると そして静かに心は離れてゆくと」と続きます。

日々、接している大学生たちは、「2度と戻らない美しい日」にいます。

そうしたことは、年を取ってから分かるものだと思いがちです。

でも、若い人たちはそのことを、心のどこかでは分かっているのでしょう。
そんなことを謳っている美しい歌詞・曲です。でも最近思います。

この歌詞のすごいところは、50歳を過ぎた今この時も「2度と戻らない美しい日」にいることを気づかせてくれるところにあるのではないか、と。

この記事を書いた人
中村 剛
中村 剛 - なかむら たけし -
福祉現場の経験と哲学という営みを通して、社会福祉の根拠となる「知」を明らかにしたいと思っています。

RELATED POST関連記事

  • 人を人として見れなくなる福祉教育の弊害
      福祉に関して学生と接していて気を付けていることがあります。 それは知識や技術を重視しすぎることで起きがちな「専門バカ」を生み出さないために何が必要かということ、そのための片方の重しをどの [...続きを読む]
  • 「大切なこと」をスケッチする③―心で分かる、だから行動が伴う―
    楽天イーグルスのオコエ瑠偉選手のツイッターが大きな反響を呼んでいます。 オコエ選手は東京都出身でナイジェリア人の父親がいます。 保育園の頃、親の似顔絵を描く際に、先生が「肌色で塗りましょう」と言った時 [...続きを読む]
  • 人間一人ひとりに、等しくある「尊厳」 ~「津久井やまゆり園」事件後のソーシャルワーク教育~
      2016年、神奈川県にある知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、元職員が施設に侵入し、入所者19人を刺殺した事件が起きました。 犯行の動機は、「重度障がい者は生きている意味がない」、「意 [...続きを読む]

LATEST POST最新の記事

  • 成功のカギは、結果が出るまで「待つ」ことができるかどうか
      競技スポーツには常に勝者と敗者が存在し、その差はごく僅か、紙一重です。 勝ち負けは2分の1、5割の確率で決まりますが、アスリート個人のパフォーマンスはどのくらいの確率で「成功」となるので [...続きを読む]
  • 言うまでもないこと
      先日、「暗黙の了解です」「言うまでもない前提なので」という事態に直面しました。 個人的には「ちゃんと言ってくれていたら・・・」という気持ちになりましたが、このような言わずもがなの事項は身 [...続きを読む]
  • 色彩と印象
      人は、第1印象(1秒~6秒程度)を、 ①外見や服装 ②表情・視線 ③話し方・声の質 ④しぐさ・姿勢 ⑤話す内容 で決定しているそうで、このことを「初頭効果」と言います。 初頭効果とは、最 [...続きを読む]
PAGE TOP