コミュニティによい実践① ~路上生活者支援~
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で起こり、いつ終わりが来るのかが見えない中で、2回生のゼミも開始となりました。
谷川ゼミの理念は「コミュニティによい実践」です。
しかし、大学の外に出て活動することは感染拡大防止、感染予防の観点からは慎重にならざるを得ませんでした。
まさに手首足首を手錠でつながれたような感じです。
しかし、そうした中でも取り組むことのできた、「コミュニティによい実践」があります。
その1つが「姫路での路上生活者支援」です。
では、谷川ゼミが、姫路での路上生活者支援で得られた知見とはいったい何だったのでしょう。
ゼミでは7月と11月に、路上生活者支援のための活動に参加しましたが、この2回の活動の取り組みに、共通点や相違点を見出したいと考えました。
そこで、姫路で2002年から活動を続けている、路上生活者ふれあいサークルレインボーの代表である車田誠治さんをたずねて、実際の支援活動に携わらせていただきました。
私たちは7月と11月の2回、姫路五軒邸協会ならびにカトリック姫路教会に出向き、炊き出しとしてお弁当づくりや配布、姫路城周辺にて夜回りパトロールをおこないました。
7月には昨年のゼミの参加経験者も3名来てくれて、2回生にサジェスチョン(助言)してくれました。
11月は炊き出しだけでなく、LGBTQ、ひきこもり、不登校などの社会的マイノリティ、生きづらさ、孤独感、孤立を感じている人など「みんながいられるスペースであり、居場所であり、フリースペースである、「そらにじひめじ」も訪問しました。
支援活動後、7月と11月のそれぞれの支援活動後、分析レポートを作成しました。
これらのレポートで書かれた文章を、テキストマイニング、すなわち文章のかたまりから意味ある何かを掘り起こすという分析を実施しました。
7月と11月の二つの取り組みを、ワードクラウドと単語分類により比較分析しました。
ワードクラウドでは次のようなことが分かりました。
7月では「ホームレス」、11月では「路上生活者」という言葉が多く使われています。
また、7月では小さな表示だった「炊き出し」が、11月では大きく表示されています。
さらに、7月には「給付金」、一方、11月には「そらにじひめじ」が比較的大きく表示されています。
単語分類では、7月と11月の両方によく出る言葉、片方にだけ出現する言葉のあることが分かりました。
7月では、楽しい、新しい、興味深い、寒い、心強い、等々の形容詞が多く使われています。
11月では、形容詞が少なく、夜回り、そらにじひめじ、などの名詞が多くなっています。
ワードクラウドの7月と11月における「ホームレス」から「路上生活者」へという言葉の違いは、私たちが実践していく中で、単なる家がない人という視点から、かけがえのない生活者という視点に切り替わってきた証左と言えます。
単語分類の7月にだけ出現で、心強い、というのがありましたが、これには3回生の先輩方が手ほどきしてくだったことが影響していると考えられます。
また、11月にだけ出現した言葉に、そらにじひめじがあります。
谷川ゼミがコミュニティスペースである、そらにじひめじを訪問したのは今回が初めてであり、ゼミの今後の展開につながることを期待します。
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