コラム

子どもは認められると変身する

皆さんは「児童相談所」をご存じですか? 

虐待を受けた子どもが児童相談所の一時保護所に保護されたとのニュースを聞かれたことがあると思います。
このコラムは私が大学を卒業して、一時保護所に勤めていた時のお話です。

ある日、小学4年の男児が入所してきました。

入所理由は他児に暴力をふるったり、小学校の渡り廊下の屋根に登り瓦を剥がして投げつけるなど、乱暴で手に負えず、何とかして欲しいとのことでした。
一時保護所でも他児に暴力をふるうことがありました。
当時のスタッフは8人で、私を除く7人が女性保育士で、一時保護所には温かく子ども包み込むような母性的な雰囲気がありました。私は夜勤に入らず日勤で働いていました。
男児が暴力をふるった時にはすぐに叱ることなく、別室でじっくりと話を聞くようにしました。
男児は誰にも認めてもらえず、大人に自分の気持ちを聞いてもらったり、打ち明ける機会もなく、自分のどうしようもないイライラ感を他児や物にぶつけていたように思います。
毎日毎日、根気強く、男児の気持ちに耳を傾け寄り添いながら関わっていきました。
そうして10日ほど経ったある日、私が帰宅する時間になると事務所に来て、「一緒に帰りたい、先生の家に連れて帰って」と言ってきました。

誰からも認めてもらうことのなかった男児の素直な気持ちだと思います。

私はそれに少しでも応えようとして、男児と二人きりで、明石公園に「どんぐり拾い」に行きました。
二人で沢山のどんぐりを拾い、明石公園から一時保護所に帰ってきた時に、男児が「他の子はどんぐり拾いに行ってないので可哀想や、草むらにどんぐりをばらまいて、みんなで『どんぐり拾い』をしよう」と言いました。
他児に乱暴を働いていた男児が他の子どもの気持ちを考えるまでに成長した瞬間でした。

その時、子どもは大人に認められると変身することを強く実感しました。

子どもは認められることにより自立するのだと思います。

この記事を書いた人
佐伯 文昭
佐伯 文昭 - さえき ふみあき -

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