続・いまも影響力を持ち続ける人生論
武者小路実篤の人生論は今日もなお影響力を持ち続けている。
それを示す根拠として、たとえば「読書メーター」(日本中の読書家とコミュニケーションできるWeb)がある。
読書メーターのレビュー数を見ると、2014年1件、2015年2件、2016年1件、2017年0件、2018年2件、2019年1件とほぼ毎年何等かの投稿がなされている。
また、アマゾンのカスタマーレビューでも2003年、2006年、2015~2016年にそれぞれ1件ずつの投稿内容が確認できる。投稿件数は僅かと言えるかもしれないが、長らく絶版しているにもかかわらず、岩波新書赤版にレビューが寄せられたという点を評価したい(2019年8月27日現在)。
それでは、武者小路実篤はその著『人生論』において何を論じたのか。
気になるであろう。
本コラムでは、本著をただ読んでいるだけでは気づかない、または気づきにくい潜在的な構造を探ってみよう。そこから今日において何か継承できるものが発見できるかもしれない。
私は『人生論』正編・全64章をデジタルデータ化した上で計量的に内容の整理・分析を試みた。正確にいえば分析途上というところであるが、分かったことがある。
『人生論』の文字数は全部で93,206文字、全体の語数は59,167語、単語は3,259種類であった。出現回数の多かった語句は、人間が681回を数え、以下、人458、自分382、仕事246、他人196、自然178、健康130、生命109、愛72、心71、人生71、人類67、生活64、という回数であった。
武者小路実篤の『人生論』は本質的には何を論じたのか。
一目瞭然と言えよう。「人生」というよりはむしろ「人間」について、あるいは「人」についてだったのである。
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