コラム

虐待を受けた子ども達の心の傷

近年、虐待によって幼い命が奪われるという痛ましいニュースをよく目にするようになりました。

実際、児童相談所の虐待相談対応件数は増加の一途をたどっています。
ここでは児童虐待をめぐる心の傷つきについて取り上げてみたいと思います。

一般的に虐待による心の傷つきとしてイメージされやすいのはPTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)ではないかと思います。
阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件以降、この診断名は広く知られるようになりました。
大まかな説明をするとPTSDとは、死にそうになったり、重傷を負ったり、性的暴力を受けるといった出来事を直接経験したり、目撃したり、耳にしたり、繰り返し曝されたりする等によって、次のような症状が現れ、1ヶ月以上持続することを指します。
すなわち、再体験症状(苦痛な記憶が本人の意図に関係なく思い出される)、回避・精神麻痺症状(苦痛な記憶を想起させるものを避けたり、感情自体が感じられなくなる)、過覚醒症状(過度の警戒心や入眠困難等)、認知と気分の陰性変化(陽性の感情が感じられなかったり、自分が悪い・誰も信用できないなどの否定的な信念を持つなど)の症状です。

これらは、人間が危機的な状況に陥った際に、自分を防衛するために生じる正常な反応なのですが、危機が過ぎ去った後も持続し、社会生活に支障を来すようになった場合、治療の対象として問題視されることになります。

実は虐待を受けた子ども達の支援をしようとした場合、このようなPTSDやトラウマを中心とした子ども理解だけでは非常に不十分です。虐待とは非常に複合的な体験であり、様々な視点が求められます。

トラウマという視点で見たとしても、大人とは違うものがあります。

そこで次回のコラムから、虐待を受けた子ども達が抱える様々な課題について、順番に触れていきたいと思います。

この記事を書いた人
高田 豊司
高田 豊司 - たかた とよし -
心療内科クリニック、スクールカウンセラー、重症心身障害児施設等を経て、児童養護施設の心理職として勤務してきました。授業だけではなく、現場で役立つ実践的な学びが得られる機会を作っていきたいと考えています。また研究室が、在学中のみならず、卒業後の学生の皆さんの心の拠り所となれば考えています。

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