コラム

もう一度走れるように ~あの頃のように~

 
昨夏、コロナ太りも起因して、体重がベストよりも25キロほどオーバーしたところで、このままではダメだ! 「もう一度走れるように」という思いに至った。

その数日前、「痩せないとだめですよ」と健康診断で担当医から強く言われてても聞く耳を持たなかった自分であるが、「もう一度走れるように」が自分の脳裏になぜだろうか、何度も何度もリピートした。
しかし、あれから30年も経っているため、自分が理想とする、思うような走り方ができるはずもない。

私が陸上競技の現役を退いたのは30年前のことになる。大学4年生(22歳)、その年の5月に開催された関東インカレの4K(4×100メートルリレー)予選会で敗退後のことである。
実は大学3年生の冬、箱根駅伝の予選会にも出場したこともある。出場43校中42位と、ビリから2番目であったが、今でもよく覚えている。
予選会では、私自身が長距離専門でなく短距離走者であったため、一人10㎞というノルマはキツかった。出場することになったきっかけは、ランナーの人数が揃わなくて、当時の長距離チームの責任者から無理を請われて、走者の一人に抜擢されたのである。
箱根駅伝予選会は、正直、訳も分からないまま興味本位でスタート地点に立っていた、といっても過言ではない。走破後は、痛みで1週間ほど歩けなくなったが、それも徐々に回復した。あんな経験は二度と無いだろうと思う。

話がだいぶ横道にそれてしまったが、要は、私は「もう一度走れるように」なりたいということなのである。付け加えると、「あの頃のように」であろうか。
ちなみに私の自己ベストは100メートル11秒1、200メートル22秒6である。現役時代は10秒台が夢であったが、双方のベスト記録を出したところで妥協してしまっていた。富山県選手権では、当時、個人種目で優勝こそできなかったものの、数度の準優勝に輝かせていただいた。
全国に目を向けると、いかに井の中の蛙であったかが思い知らされることになるのだが、さまざまなボタンのかけ違いもあり、とうとう叶わぬ儚い夢となって今日に至っている。

今さら何かの大会に出ようとか、何秒台を目指すということはナンセンスだと思ったりしているが、「もう一度走れるように」それこそ「あの頃のように」なるためには、何かをしなくてはならない。
嬉しい思いをしたのは、最近、複数の同僚の先生方から、「痩せましたね」「スリムになられましたね」と言われた時である。確かに体重計に乗ってみると、10キロ痩せていた。
しかし、運動というほどのものは正直、時々しかおこなってきておらず、昨夏から毎日欠かさずに続けているのが“散歩”である。毎日いろんな課題に取り組まなければならないが、散歩をすることでリフレッシュを図っていると言って良い。痩せました、スリムになりましたというのは、それまで私自身がよほど歩いていなかったことの証左なのであろう。

本学社会福祉学部が重視する教養の力に、「習慣化する力」というものがあるが、まさにこれを体現した形になったと考える。ダイエットが目的ではなかったにもかかわらず1年間かからずに体重を10キロに落とせたことは良いことである。
とはいえ、まだまだ思うようには走れない。それもそのはずで10キロ体重が減っても、現役時代の体重にはまだ15キロも及ばないからである。

まだまだ終わりは見えてこないが、「もう一度走れるように」なるために私はこれからも頑張りたい。

この記事を書いた人
谷川 和昭
谷川 和昭 - たにかわ かずあき -

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