コラム

「新型コロナと福祉思想」その2―自粛警察への違和感―

ソーシャルワークの基盤には正義という価値があります。

そのため、先日、授業で正義の話をしました。

そこで正義についての留意点として
「正義感は、気をつけないと、それを守っていない人を攻撃したり、正義の名のもとに侵略や暴力を正当化したりしてしまいます。正義の究極の目的は『争いをなくすこと、すなわち、平和を実現すること』です。よって、攻撃や暴力が伴うものは望ましい正義ではありません」
という説明をしました。

非常事態宣言が出され自粛が求められると「自粛警察」という言葉が聞かれるようになりました。

これは、緊急事態宣言下で営業を続ける飲食店に攻撃的な張り紙をするなどの行為を指す言葉のようです。
こうした行為に疑問をもつ人は少なくないと思います。

人間の社会において繰り返し発生する紛争を解決するためにルールが生まれ、それが法という強制力をもつようになりました。
人間は法を守ることが正しいと考えるだけでなく、その法は正しいのか、と問うこともします。

こうして人間は「正しさ、正義」という観念をもちました。

ルールを守らないから注意をすることは、確かに「正しさ」の一面をもっています。

しかし、正しさ、正義って何でしょうか。

簡単に答えられるものではありません。

ただ、多くの人が「人を傷つけたり攻撃したりするのは、根本的には、正しくない」と思っています。
こうした思いは、私たちがもっている正義感覚といえるものです。

そして、その根底には平和への希求があると思います。

だから、他者を攻撃するような自粛警察に違和感を覚えるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
中村 剛
中村 剛 - なかむら たけし -
福祉現場の経験と哲学という営みを通して、社会福祉の根拠となる「知」を明らかにしたいと思っています。

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