コラム

新型コロナが私たちに気づかせてくれたこと「ホームの貧しさ」

「ステイ・ホーム」についてである。

これまでの感染症に対する人類の対処方法は、隔離(isolating)と集中(concentrating)に集約される。「おうちにいましょう」は隔離と集中の自主的な形態である。「家族は感染しても仕方がない。社会の人々を汚染するのは避けてください」ということである。   

ここで重要なことは、「ホーム」の実態である。

コーヒーを飲みながらペットと過ごせる「ホーム」もあれば、ネットカフェを「ホーム」にしている人もいる。また天井の低い、窓を開けても換気できないワンルームで暮らしている学生もいる。また、リモートワークや外出自粛等で、「ホーム」での虐待件数が増加しているという。

今回の新型コロナが私たちに気づかせてくれたこと、その1つが日本人の「ホーム」の貧しさである。

新型感染症に対して今後も隔離と集中が繰り返されると思われる。「ホーム」が自主隔離の相応しい場所になるように、日本人の住環境を豊かにすることは感染症対策にもなると考えている。

新型コロナの感染拡大予防策として、国中を上げて「引きこもり」という生き方・暮らし方が推奨された。

これまで「引きこもり」という生き方は否定的にしか捉えられなかったが、未知の感染症が蔓延する時代では見方を変えなければならないのではないかと考えてしまう。
ダーウィン流の進化論で言えば、彼・彼女らこそが「適者生存」なのかも知れない。

進化論と言えば、ダーウィン(正確に言えば社会進化論者のスペンサー)を批判した、アナーキスト(無政府主義者)のクロポトキンも想起される。クロポトキンはその『相互扶助論』のなかで、優れた個体が、優れた社会が生き延び、進化していくというダーウィン流の「強者の思想」を批判して、動物の観察をもとに弱き個体が互いに助け合う社会こそが生き延びていくという、いわば「弱者の思想」に立脚した論を展開している。

新型感染症との関連で言えば、新型ウイルスに感染しても発症しない人が生き残ると考えるのか、感染しないようにみんなで助け合う(協力し合う)ことが重要と考えるのか。

日本を含め世界の状況を見ていると、どうもクロポトキンに軍配が上がりそうである。

この記事を書いた人
溝端 剛
溝端 剛 - みぞばた たけし -
人嫌いの人間が、多くの人々とかかわりを持つ仕事をし、今ではそこに楽しみを感じている。人生って分からないものですね。

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