回顧録・人間関係の和で紡ぐ看護福祉
新型コロナウイルスの影響で数多のイベントが中止になった。
本学で開催される予定だった第33回日本看護福祉学会学術大会もそのひとつである。
私が学会当局から正式に大会長の委嘱状を受け取ったのは昨年11月のことであった。
しかし、こと準備に関していえば、実際にはこの数ヶ月前から水面下で進めていた。
では、どんな準備をしてきたのだろう。
第1に、学内での開催承認を取り付けることである。
学部長、学長、事務局など関係部局との折衝を経て、学術大会の開催については昨年7月教授会で正式に認めていただいた。
第2に、学会総会における次期開催校としての挨拶である。
チラシを持参して宣伝した。
第3は、口座開設である。
大会口座については、業者・関係者支払用に総合口座、大会参加費徴収用には振替口座をそれぞれ9月に開設した。
そして、大会専用の印鑑も発注した。
第4に、企画運営委員会の設置、組織化である。
一人では運営は無理である。私は社会福祉学部所属のため、看護学部をはじめ学内外の諸先生方等に仲間に加わっていただいた。
第5に、大会テーマの決定である。
テーマにふさわしい講師陣の交渉依頼も進めた。基調講演、シンポジウムの講師選定、さらには交流集会の講師陣についても確定していった。
以上が、11月頃までのワンクール目というところである。
主に看護と社会福祉の研究者で構成されるこの学会の会員数は500名である(2019年11月2日現在)。
今大会の構想では、教育関係者、市民、現場実践者を含め、総参加者数は400名前後訪れていただくことを見込んでいた。しかし、ツークール目に入る頃から、新コロナ禍が忍び込んできたのである。
私が大会長を仰せつかった第33回日本看護福祉学会学術大会の開催準備も12月以降からツークール目に入った。
とくに抄録集を編集し、発送にまで漕ぎ着けるところまでが本クールの醍醐味と言ってよい。今回も、どのような準備を進めてきたのか振り返ってみよう。
第1に、予算書の作成である。
何にどれぐらいの費用がかかるのか、必要経費を概算した。また、少しでも経費が捻出できるように企業への広告・展示の協力依頼をおこなった。
第2に、書類作成(大会案内、発表申込要項、チラシ)と発送である。
年内までに学会員を含む関係者に約600通発送した。その後、学術大会専用のFacebookページを開設した。
第3に、会場使用計画の作成である。
学内の教室をどこでも自由に使用できるわけではないため関係部署との連絡調整をおこなった。研究発表のポスター会場も確定していった。
第4に、応募をいただいた研究発表原稿の審査(査読)である。
結果、応募総数38件、審査通過34件(途中辞退あり)、発表成立30件(発表取り消し4件)であった。コロナ禍のため例年より20件ほど少なかったが、まずまずの豊かな研究発表ラインナップとなった。
第5に、抄録集、つまり発表原稿集の編集と発送である。
6月下旬までに完了した。
以上までがツークールである。
ちなみに今回の大会テーマは「人間関係の和で紡ぐ看護福祉―看護の心、福祉の心、皆の心の羅針盤―」であった。本学の教養科目のひとつ「人間関係学」の受講者も全員、基調講演やシンポジウムに参加し、講師やフロアの方々のお話に耳を傾ける予定であった。
それだけに、我々にとって非常に貴重な学習機会を逸し残念無念だ。
RELATED POST関連記事
-
虐待を受けた子ども達を支援する第1回 人を支援するということ 本稿では「虐待を受けた子ども達を支援する」ということをテーマに、思いつくままに書き進めたいと考えています。 テーマを見ると、虐待という言葉の方が印象に残りやすいと思いま [...続きを読む]
-
2020/11/27 総合福祉コース大切なことをスケッチする⑨ ー学生たちが宿している知性と大学教育の基本ー授業の中で、時々、学生たちの素晴らしい知性や感性に感銘を受けることがあります。 その一例を紹介したいと思います。 実践的教養論という授業があります。 「実践的」な学びをするため、10月か [...続きを読む]
-
2020/07/17 こども福祉コース子どもに寄り添う大切さ私が「児童相談所」に勤めている時の話です。 5月のある日、中学3年のMさんが母親に連れられて来られました。 来談した理由は、「不登校」です。 中学2年の2学期から登校しぶりが見られ、中学 [...続きを読む]
LATEST POST最新の記事
-
2021/01/20 こども福祉コースコロナ渦でも学生が頑張ったこと その② ~「コロナ渦でも元気で楽しく過ごす子どものコツ」冊子の制作~コロナ渦は大学生に心身ともに大ダメージ 新型コロナは日本において大学生に心身ともに大きなダメージを与えています。 小・中・高校生は登校できていますが、大学生は登校も叶わない時期が長く続い [...続きを読む]
-
2021/01/20 こども福祉コースコロナ渦でも学生が頑張ったこと!その① ~「第9回子ども支援セミナー」の開催~昨年は新型コロナに翻弄された一年でした。 本学でも卒業式、入学式が中止になりました。 それだけではなく、大学はオンライン授業になりました。 大学内は学生立ち入りができずZoomでの授業に [...続きを読む]
-
2021/01/19 総合福祉コースコミュニティによい実践② ~観光スポットの分析~2018年10月、『兵庫県赤穂市GAP調査報告書』が公表されました。 この報告書は全94頁、赤穂市のHPでどなたでも閲覧できます。実際の調査では全国1,052名もの協力者が回答しており、 [...続きを読む]
コラムTOP
タグ一覧
- ALS
- ICT
- PTSD
- SDGs
- あたりまえ
- かけがえのなさ
- つながり
- エンパワメント
- オンライン授業
- コミュニティ
- コラボレーション
- コラム
- コロナ
- コーチ
- コーチング
- ストレス
- スポーツ
- ソーシャルワーク
- トラウマ
- ノーマライゼーション
- ノーマリゼーション
- ホーム
- ボランティア
- メンタルヘルス
- 不平等
- 人生
- 介護
- 体育
- 依存
- 児童虐待
- 共生
- 冷蔵庫マザー
- 国家試験
- 声なき声
- 多文化共生
- 大学教育
- 子ども支援
- 子ども食堂
- 学会
- 差別
- 幸せ
- 心理療法
- 怒り
- 悩み
- 愛着
- 感性
- 感染症
- 成年後見制度
- 授業
- 支援
- 政策反映
- 教養
- 正しさ
- 正義
- 活動
- 海外研修
- 災害ボランティア
- 災害時要配慮者
- 生活困難
- 真実
- 知性
- 知的障がい
- 福祉思想
- 福祉教育
- 科学
- 移植
- 精神障がい
- 経済
- 脳死
- 自尊心
- 自立
- 自粛警察
- 自閉症
- 若者
- 虐待
- 観光
- 認知
- 認知症
- 読書
- 路上生活者
- 重要な一冊
- 障害当事者の声
- 障害者権利条約
- 難病
- 高齢者